国会事故調をいまさら読んでいます。勉強になるなあと。特に「へ~」と思ったこと。原発の安全対策って、事故を起こさないってことだけじゃないのですね。IAEAは、原発の安全対策を、事故が起きた場合にできるだけ被害を少なくする(第4層)、事故が起きた場合の発電所外での緊急時対応を整備することまで含めているようです。これを深層防護(5層の防護)というらしいです。言われてみれば、なるほどという感じですね。

この辺は国会事故調の以下のページに詳しいです。
国会事故調 | 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会のホームページ
以下、多層防護について少し引用。

第4層
事故の進展防止、シビアアクシデント時の影響緩和等、発電所の過酷な状況を制御し、閉じ込めの機能を維持するため、補完的な手段及びアクシデントマネジメント(設計基準事故を超える事態に備えて設置された機器等による措置)を導入する。
第5層
放射性物質が外部環境に放出されることによる放射線の影響を緩和するため、オフサイト(発電所外)での緊急時対応を準備する。

 

図1-1 深層防護の概要[2]
IAEAでは、昭和63(1988)年に、「原子力発電所のための基本安全原則」として原子力発電所の安全を確保する上で考慮すべき項目をまとめた[3]。その後、1990年代後半には、深層防護を5層に強化してきた。
原子力施設の安全確保に対する第一義的な責任は、当該原子力事業の許認可取得者(事業者)にあるとされる[4]。しかし、日本の原子力安全規制は深層防護のうち第3層までを対象としており、第4層のシビアアクシデントは事業者の自主対応に委ねられてきた(詳細は「本編1.3」を参照)。
深層防護を有効に機能させるためには、①「階層間の独立」と②「前段否定の論理」の2つの考え方を理解する必要がある。
① 「階層間の独立」とは、深層防護の各階層で、前後の階層に依存することなく最善の安全対策を尽くすべきであるという考え方である。各階層が依存して対応が不十分になると、深層防護はかえって有害に働く恐れもある。② 「前段否定の論理」とは、各階層で最善を尽くして完璧に近い防護対策がなされているところに、あえて防護対策が破られると仮定し、防護対策を講じるべきであるという考え方である。例えば、第5層の防災対策の準備がこれに当たる。原子力発電所では、完全に安全と断言できる状態を目指して努力をする一方で、常に万一を想定して、原子力災害に備えた準備をすることで、放射線の放出によって公衆に健康障害が生じることの回避が実現できる。

 焦点:川内原発地元の避難計画に批判噴出、弱者対策なく不安募る | Reuters
 話変わって、川内原発過酷事故時の避難計画策定は残念ながら不十分なままのようです。過酷事故時に周辺住民を見殺しにするわけにはいきませんし上記の多層防護の考え方からも、現実的な避難計画策定とその実効性の確保が再稼働の前提要件でしょう(※これは脱原発派かどうかとは関係ない話です)。あるいは、政治家が周辺住民に対して「事故が起きたら避難がうまくいかず被ばくするかもしれない。だけど再稼働は国のため絶対必要だから理解してほしい」と語るべきでしょう。その、どっちかだと思います。

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